りゅうじゅのプロティアンラヂオ #009(2025/4/18)

先々週は新入社員、先週はリーダーに関してお話しをしました。
今日は、管理職に関することをお話しようと思います。

管理職の悩み

管理職の皆さんは、日ごろ、マネジメントを業務とされているわけですが、その中で、どんなことに悩まれていますか?

組織の中で、皆さんの部署に求められている役割によっても、悩みの対象や種類は様々だと思います。

しかし、共通しているのは、人の問題、特に部下の皆さんとの関係で悩まれる方が多いのではないでしょうか?

その組織にとって有用な人材を育成するということは、部下を持つ身になった人にとっては大事なことです。

私も、勤めていた頃に、なかなか仕事を円滑に進めてくれない部下がいたことがあって、その時には苦労しました。いわゆる報連相、報告・連絡・相談、これがまともに行われないということで、当時課長だった私からすると、「一体、どうなっているんだろう」ということが、多々ありました。

その意味では、部下に対して、仕事の面で少し物足りなさを感じるのであれば、それをできるようにすること、つまり、人材を育成することは、部下本人にとっても、また、その部下を管理する立場にいる人にとっても、重要なことです。

部下の指導をしていてイライラすることありますか?

先日、上司と部下との関係に関する本(「よくわかる部下取扱説明書」松井貴彦氏著)を読んでいて、ちょっと感じたことがあったので、今日は、そのことを少しお話ししようと思います。

部下の指導をしていて、「何度教えても要領を得ない。」とか、「何度指示しても同じミスを繰り返す。」、そんな場面が続くと、感情は次第に蓄積し、ある日爆発寸前まで膨れ上がります。

とはいえ、怒りにまかせて、「もう頼まない」とか「自分でやる」とか、言ってしまった瞬間は、ある種の爽快感さえ伴うかもしれませんが、その言葉がもたらす結果を想像してみてください。

まず、部下は育ちません。次に同じような仕事が来たとき、また、皆さんが抱えることになるでしょう。

そして、今まで部下に費やしてきた指導の時間や労力は、水泡に帰します。

さらに、関係性にもひびが入るかもしれません。部下は「見放された」と感じ、信頼関係の再構築には長い時間がかかるでしょう。

結局のところ、「自分でやったほうが早い」という考えは、短期的には正しく見えても、長期的なチーム作りとしては大きな損失につながるのです。

なぜ伝わらないのかを自問する

こうした状況に陥ったときこそ、冷静になることが求められます。
私が読んでいた本には、次のような問いを自分自身に投げかけてみようと書かれていました。すなわち、

  • 相手に自分の意図がきちんと伝わっていただろうか?
  • 抽象的な言い方や、前提の共有不足がなかったか?
  • 具体例を使って説明していたか?
  • 相手の理解度や経験に応じた伝え方だったか?

先週も、言葉というのは、伝わりも様々なだから、対象者に合わせた言い方が大切だというお話をしました。

この点を見逃すと、一見すると「伝えたはず」の内容が、実際には伝わっていないことが起こりえます。伝える側の論理や常識が、受け取る側と一致していなければ、それはコミュニケーションの不全です。部下の行動の問題を指摘する前に、自分の伝え方に改善の余地がないかを省みる姿勢が、部下との信頼関係の醸成にも役立ちますし、皆さんご自身が管理職として成長されることにもつながります。

イライラの正体と役割の認識

もうひとつ、なぜ、部下の状態を見てイライラしてしまうのかを考えると、その背景には、「本来やるべき自分の仕事が進まない」という焦りがあるということです。

管理職になる前は、自分の時間をすべて自分の成果のために使うことができました。しかし、管理職となったら、今度は、自分の時間の多くを、部下の成長とチーム全体の成果のために費やすことが求められます。指示、確認、相談、フォロー……。それらは決して「自分の仕事の妨げ」ではなく、「自分の仕事そのもの」なのです。

管理職とは、部下の成長を支援し、組織としての成果を最大化する役割です。その本質を理解していれば、部下のつまずきに対しても、より建設的に向き合えるのではないでしょうか。

部下の自律を引き出す

今の時代、部下の立場に立って「何が障害になっているのか」を一緒に見つけ出す姿勢が、信頼関係を育て、チーム全体の底力を上げていきます。

そのとき、部下の自律性を引き出すには、「命令」ではなく「問いかけ」が有効です。たとえば、

  • 「どう思う?」
  • 「どんなやり方があると思う?」

といったように、考える余白を与えることが、部下の主体性や創造性を引き出しますと思いますが、皆さんはどうお考えになりますか?

それでは、そろそろ時間ですので、今日のプロティアンラジオは、この辺で終了です。

放送

管理職の人材育成について思うこと