りゅうじゅのプロティアン・ラヂオ #008(2025/4/11)

多様性の時代におけるリーダーのかたち

はじめに

4月11日、金曜日、今日は、「りゅうじゅ」 こと 望月数久 がお届けします。

先週のこの時間は、4月1日に新入社員となったみなさんに向けて、お話をさせていただきました。

今日は、新しくリーダーになった方に向けて、お話していきたいと思います。

立場が変わると、周りの景色も、求められることも、ちょっとずつ違って見えてきます。

そんな変化の中にいる皆さんにとって、今夜は、“リーダーとはどういうものか”を考える、きっかけになったらうれしいです。

VUCAの時代

皆さんは、「VUCAの時代」という言葉を聞いたことありますか?

VはVolatility、変動が大きい、ということ、UはUncertainty、不確実だということ、

CはComplexity、いろんなことが複雑に絡み合っているということ、そして、AはAmbiguity、はっきりしない、
あいまいな状態ということ。 これらの頭文字4文字をとって「VUCA」、「VUCAの時代」と言っています。
要は、「先が読めない時代」という意味で使われることの多い言葉です。

この言葉は、もともと、1990年代にアメリカの軍隊で使われ始めた言葉だそうですが、2010年頃からは、経済分野や、さらに人材育成の現場やマネジメントでも使用されるようになりました。

私は1986年に就職したのですが、それから間もなく、1990年代初めにバブル経済が崩壊、1997年には、当時、4大証券の1つだった山一證券が倒産し、銀行の破綻も相次ぎました。 それまでの社会システムが大きく変わった時代です。

そして、皆さんの記憶にも新しい新型コロナによるパンデミックでも、社会は、そして世界は大きく変わりました。
また、今週、アメリカの関税政策が発動され、世界中が大混乱に陥っています。

このように並べてみると、「ほんとに何が起こるか分からない」っていう実感があります。

こういう社会環境を考えると、今はまさに「先が読めない時代」ですし、言い方を変えれば、

“正解がひとつじゃない時代”ともいえると思います。つまり、この状態に対しては、この解決策という感じではなくて、いろいろな対応もある、あるいは、原因のとらえ方にもいろいろなものがある、したがって、組み合わせも多種多様ということではないでしょうか。

VUCAの時代のリーダー像とは

こうした時代にリーダーになった皆さんは、どんなリーダー像をもっていますか?

先ほどお話ししたような「何が起こるか分からない」という時代、これは、人々の価値観も様々だということだと思います。

例えば、ある人にとっては「残業してでも仕事をやりきる」のが当たり前。でも別の人にとっては「定時に帰って家族と過ごす時間を大切にする」が当たり前。 これは、その人の価値観の問題なので、どちらがいいとか悪いではないと思います。

これを前提に考えると、今のリーダーに大事なのは、自分の価値観だけで物事を判断しないことだと思います。 「私はこうしてきた」ということではなく、今目の前にいる「この人はどう感じてるかな?」という視点で考えることが大切ではないでしょうか。

何人もの人がいて、それぞれがいろんな価値観を持っていて、そうしたチームを皆さんはリーダーとして、まとめていく役割を期待されているわけです。

これから皆さんも、リーダー研修などを受ける機会もあると思います。 こうした場合にも、やはり、今お話ししたような視点は大事ですから、“一緒に考える”姿勢が、今、求められているように思います。

まずは聴くリーダー

そのために何が必要かを考えると、それは、相手の話をよく聞くということではないかと思います。“傾聴”とか“傾聴力”。 英語では、”アクティブリスニング”とも言いますが、これは相手が話しやすいように促してあげるような聞き方、言葉に表れていない気持ちを言葉にしてもらえるように聴いていく聞き方です。

たとえば、部下が「すみません、ミスしてしまいました」と言ってきたとき、昔なら「なんでそんなことしたんだ!気をつけろよ!」と言っていたであろう場面で、

今は、そこをぐっとこらえて、「どんな状況だった?」、「何があった?」というように、相手の言い分やその背景にあることを聴いてみる。 怒るのではなく、一緒に振り返っていくことで、真相がわかり、お互いに信頼していけるような接し方が良いのではないでしょうか。

そして、「当たり前が人によって違う」ってことは、伝え方や接し方も、人に応じて様々になることが考えられます。

ある部下には、「細かく伝える」のが安心感になるかもしれませんが、別の部下には、「大枠だけ伝えて、あとは任せる」ほうが力を発揮できるかもしれない。

リーダーとして、どのようにメンバーの皆さんと接していくかについては、いろいろ悩んでいることと思います。

今、皆さんは、メンバーからリーダーに役割がの転換し、そして、リーダーの役割そのものが、時代の状況に応じて変わってきていると思います。

以前のように、“話すリーダー”から“まずは聴くリーダー”に、役割が変わってきたと思います。

プロティアンキャリア的にも、こうした柔軟性は、とても価値あるものだと考えています。

状況に柔軟に対応していけるということが、ご自身にとっても、相手の方にとっても、それぞれの力を発揮するための、大事な要素だと思います。

問いを共有する

先日、インターネットである記事を読みました。

それは、リクルートワークス研究所が行った「『対話型の学びが生まれる場づくり』に人事ができること。」というフォーラムの記事でした。

そこでは「正解習得型から対話型へ」という学びの質的転換が語られていました。 問いを共有し、「なぜそう考えるんだろう」とお互いの視点に耳を傾ける。そのプロセスのなかで学びが起こる、というような話でした。

 この「問いを共有する」という姿勢は、リーダーにとっても重要だと思います。

メンバーからの問いかけに対して、ただ答えを出すのではなく、「それってどういうことかな?」と一緒に問いを深めていく。 そんな対話の積み重ねが、相手の自律を促すことにもなるし、そうした自律したメンバーが増えれば、チーム全体が自律していくことに繋がります。

まとめ

さて、今はまさにVUCAの時代、多様性の時代です。

今日は、そんな時代におけるリーダー像を考えていただける機会になればいいなと思って、こんなお話をしてきました。

皆さんは、どのようにお考えになられたでしょうか。

それでは、そろそろ時間ですので、今日のプロティアンラジオは、この辺で。担当はりゅうじゅでした。

放送

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https://stand.fm/episodes/67f60486ac0de769f5eb82fb