労災保険法について【6】

労災保険法

前回からの続きです。今回も主なところをまとめていきます。

障害補償給付等・障害特別支給金等

ここでは、保険給付としての障害補償給付等と、特別支給金としての障害特別支給金等についてお話します。

なお、通勤災害による場合には「障害給付」、複数業務要因災害による場合は「複数事業労働者障害給付」となりますが、内容は同じですので読み替えてください。また、特別支給金については、名称も変わりません。

障害特別給付等

障害補償年金・障害補償一時金

傷病補償年金は治療中の年金でしたが、傷病が治って(症状が固定して)、障害が残った場合に支給されるのが、障害補償年金又は障害補償一時金です。

労災保険法第15条により、障害補償給付は、「障害等級に応じ、障害補償年金又は障害補償一時金と」となっており、障害等級第1級から第7級が年金、第8級から第14級が一時金です。

年金は、第1級の給付基礎日額の313日分から第7級の131日分まで等級に応じて決まっており、労働者の請求によって支給されます。

年金は、所定の手続きを行うことで、存命中は支給されます。

障害の程度は、第1級が、両眼が失明したものやそしやく及び言語の機能を廃したもの等であり、第7級は、一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になつたものや両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になつたもの等で、こちらも等級ごとに決まっています。

一時金は、障害等級第8級の場合が給付基礎日額の503日分から第14級の56日分まで、等級に応じて決まっていますので、こちらも労働者の請求によって支給されます。

障害補償年金前払一時金

障害補償年金を受ける権利を有する人は、その請求に基づき、障害補償年金前払一時金の支給を受けることができます。

障害補償年金差額一時金

障害補償年金の受給者が死亡した場合において、その人に支給された障害補償年金の額及び障害補償年金前払一時金の額の合計額が障害等級に応じて定まっている額に満たないときは、その遺族の請求に基づき、その遺族に対して、その差額を支給するものです。

障害特別支給金等

社会復帰促進等事業による特別支給金です。障害特別支給金のほか、特別給与(ボーナス等)対応するものとしての障害特別年金、障害特別年金差額一時金及び障害特別年金差額一時金があります。

障害特別支給金

業務上の事由又通勤災害による負傷町は疾病が治ったときに身体に障害が残った労働者に対して、その申請に基づいて支給されるものです。

これは一時金であって、等級に応じて金額がきまっています。例えば、第1級は342万円、第7級は159万円、第8級は65万円、そして第14級は8万円です。

障害特別年金・障害特別一時金

障害補償年金又は障害補償一時金の受給権者の申請により支給されるものです。

障害等級に応じて年金額又は一時金額が決まっています。また、基礎になるのは、傷病特別年金と同様に、ボーナス等の特別給与の合計額を365で除して得た金額を日額としたものです。

障害特別年金は、第1級の場合が、その日額の313日分、第7級の場合が131日分です。

また、障害等級第8級から第14級の場合は一時金としての障害特別一時金が第8級の場合は503日分、第14級の場合は56日分が支給されます。

障害特別年金差額一時金

障害補償年金差額一時金を請求できる遺族が、同時にこの一時金の請求をすることで、等級に応じた上限額と受給権者が生前に支給を受けた合計額との差額を、一時金として受け取ることができます。

時効

障害補償給付は、傷病が治った日の翌日から5年、障害補償年金前払一時金は傷病が治った日の翌日から2年、障害補償年金差額一時金は労働者が死亡した日の翌日から5年を経過すると、時効により請求権が消滅しますのでご注意ください。

まとめ

保険給付としての障害補償年金の受給権者は、その受け取り方について、障害補償年金を前払一時金として請求することもできます。また、特別支給金としての障害特別支給金と障害特別年金の申請ができます。さらに、障害補償年金の受給権者が死亡した場合に、その遺族が、保険給付としての障害補償年金差額一時金と特別支給金としての障害特別年金差額一時金を請求できる場合があります。

また、保険給付としての障害補償一時金の受給権者は、特別支給金としての障害特別支給金と障害特別一時金の申請ができます。

この回は、以上です。

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