令和6年8月23日、厚生労働省が毎月勤労統計調査 令和6年6月分確報値を発表しました。労働市場における賃金動向をみるという意味では、重要な統計資料です。
令和6年6月分の状況
6月は多くの企業等でボーナスが支給された月だったので、一般労働者の「きまって支給する給与」は361,010円で前年比2.6%増、「特別に支払われた給与」は304,303円で8.1%増でした。
また、パートタイム労働者は、「きまって支給する給与」は109,058円で前年比2.4%増、「特別に支払われた給与」は12,606円で46.1%増でした。「特別に支払われた給与」については、一般労働者もパートタイム労働者も大きな伸びを示しています。
産業別に見ると、金融業・保険業では現金給与総額が8.2%増と高い伸びを示す一方、不動産業・物品賃貸業では3.9%減となるなど、業種間で大きな差異が見られます。
時系列的な変化を見ると、一般労働者、パートタイム労働者ともに、令和3年から上昇に転じており、今年もその傾向は継続しています。
この賃金上昇傾向は、政府の賃上げ促進政策等と連動しているように思いますが、実質賃金の上昇幅は依然として小さいので、持続的な経済成長のためには、さらなる上昇も必要なのかもしれません。そのためにも、政府や地方自治体による中小企業への支援は、今後も充実していく必要があります。
物価との関係
物価との関係を見ると、同期間の消費者物価指数は3.3%上昇しており、名目賃金の上昇率4.5%から物価上昇率を差し引いた実質賃金は1.1%の増加となりました。つまり、インフレーションの影響を考慮しても、わずかながら実質的な賃金上昇が確認されたことになります。
ここから、企業が物価上昇に対応して賃金を引き上げる動きが広がっていることが推定されます。特に特別給与の大幅な増加は、企業が柔軟に対応していることを示していることの現れだと思います。
生産性の向上
総実労働時間が前年同月比3.1%減少しているにもかかわらず賃金が上昇していることから、労働生産性の向上が窺えます。これは、企業が効率化を進めながら賃金上昇を実現できていることを表しているとも考えられますので、良い傾向だと思います。
なお、この記事で引用している表は、厚生労働省が発表した概況の資料からの抜粋です。また、棒グラフは、厚生労働省のデータをもとに作成したものです。