労災保険法について【5】

労災保険法

前回の続きで、労災保険法の業務災害に対する給付等について、主なところをまとめてみようと思います。

傷病補償年金・傷病特別支給金等

ここでは、保険給付としての傷病補償年金と、特別支給金としての傷病特別支給金等についてお話します。

なお、通勤災害による場合には「傷病年金」、複数業務要因災害による場合は「複数事業労働者傷病年金」となりますが、内容は同じですので読み替えてください。

傷病補償年金

保険給付の1つです。休業補償給付の支給が療養開始後1年6か月を経過したときに、所轄労働基準監督署長の職権によって傷病補償年金の支給決定がなされ、それまでの休業補償給付の支給は打ち切られます。

支給要件

支給要件は、療養開始後1年6か月を経過した日又は同日以後において、負傷又は疾病が治っておらず、かつその障害の程度が傷病等級第1級から第3級に該当していることです。いくつか例示をすると、傷病等級第1級とは、①神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に介護を要するもの、②胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要するもの、③両眼が失明しているもの等の状態です。

また、傷病等級第2級とは、① 神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、随時介護を要するもの、②胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要するもの、③両眼の視力が〇・〇二以下になつているもの等、

第3級は、①神経系統の機能又は精神に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの、②胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に労務に服することができないもの、③一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になつているもの等の状態です。

なお、この年金は、前述のとおり、負傷又は疾病が治っていないことが支給要件です。この後に出てくる「障害補償年金」は治った後を対象としているので、区別してください。

労働基準法との関係

「業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなつた場合」には、その使用者は、「当該3年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において」、打切補償を支払ったものとみなされるため、解雇制限が解除されます。

傷病特別支給金

傷病補償年金の受有者からの申請により、一時金としての傷病特別支給金が支払われます。金額は、傷病等級第1級が114万円、第2級が107万円、第3級が100万円です。

傷病特別年金

傷病補償年金の受給者からの申請に基づいて支給します。

負傷又は疾病の発病の日以前1年間に支払われたボーナス等の特別給与の合計額を365で除して得た金額を日額として、傷病等級第1級の場合はその313日分、第2級の場合は277日分、第3級の場合は245日分となります。

 

この回は、以上です。

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