令和5年雇用動向調査と令和6年7月分一般職業紹介状況

記事一般

令和5年 雇用動向調査について

令和6年8月27日に、厚生労働省から「令和5年雇用動向調査結果」が公表されました。

概要

令和5年1年間の入職者数は850万人、離職者数は798万千人で、入職者が離職者を52万人上回っています。

就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数449万人、離職者数451万人で、離職者が入職者を2万人上回っています。

また、パートタイム労働者は、入職者数400万人、離職者数346万人で、入職者が離職者を54万人上回っています。

このことから、令和5年は、パートタイム労働者の入職者数が増加したことで全体の入職者数が増加しました。

10年前との比較

労働者数

令和5年1月1日における労働者数は、5,184万人(平成25年値比+12.9%)で、内訳は一般労働者が3,729万人(同+10.2%)、パートタイム労働者が1,454万人(同+20.4%)です。また、性別では、男性2,767万人(同+8.0%)、女2,417万人(同+19.1%)です。

※平成25年1月1日の労働者数は4,593万人で、内訳は、一般労働者が3,385万人、パート労働者が1,208万人。男性2,563万人、女性2,030万人。

厚生労働省による生産年齢人口の推計では、平成27年が7,728万人で、令和7年が7,170万人なので、10年で7%余り減少する見込みとなっています。その中で、労働者数が増加しているのは高年齢者層の増加があると思いますが、それ以上に女性の労働者が増えているわけです。

入職者数・離職者数

(1) 平成25年1年間の入職者数は749万人、離職者数は718万人で、入職者が離職者を31万人上回っていました。

就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数426万人、離職者数420万人で、入職者が離職者を6万人上回っていました。

また、パートタイム労働者は、入職者数323万人、離職者数298万人で、入職者が離職者を25万人上回っていました。

(2) 令和5年の入職者数は、平成25年に比べて101万人(6.5%)、離職者数は80万人(11.1%)それぞれ増加しました。

就業形態別にみると、一般労働者の入職者数23万人(5.4%)、離職者数31万人(7.4%)それぞれ増加しました。

また、パートタイム労働者は、入職者数73万人(23.8%)、離職者数48万人(16.1%)それぞれ増加しました。

令和5年 年齢階層別転職入職率

年齢階層別にみると、30歳未満の転職入職率(在籍者に対する転職入職者の割合をいう。また、転職入職者とは入職者のうち、入職前1年間に就業経験のある者をいう。ただし、「内職」や1か月未満の就業は含まない。)が他の年代に比べて高いことがわかります。特に若年層を中心に転職が活発化しているとみることができます。

また、この年代の離職の理由を見ると「仕事の内容に興味が持てず」「職場の人間関係」「収入が少ない」「労働時間等の労働条件か悪い」といったあたりがまんべんなく高い率を示しています。

一方、50歳代女性では介護を理由とする離職の割合も高い状況です。

雇用動向調査結果については、ここまでします。

(ここまでの各表は令和5年雇用動向調査結果からの引用です。)

一般職業紹介状況(令和6年7月分)について

令和6年8月30日に、厚生労働省から「一般職業紹介状況(令和6年7月分)について」が公表されました。

概要

これによると、令和6年7月の有効求人倍率(季節調整値。以下同じ。)は1.24倍(前月比0.01ポイント増)、新規求人倍率は2.22倍(前月比0.04ポイント減)、正社員有効求人倍率は1.00倍(前月と同水準)となりました。

前述の雇用動向調査から、令和5年は、全体としては入職率が離職率を上回る状況でしたから、その傾向は令和6年7月も継続していると言えます。

(この表は、一般職業紹介状況(令和6年7月分)からの引用です。)

業種別の動向

前出の雇用動向調査では、入職率が高い産業として「宿泊業,飲食サービス業」(32.6%)、「生活関連サービス業,娯楽業」(32.8%)、「医療,福祉」(16.0%)を挙げることができるのですが、一般職業紹介状況においても、「医療,福祉」(5.1%増)は、新規求人数の増加が顕著な業種となっていますので、「医療,福祉」分野での人材不足が継続していることがわかります。

非正規雇用

一般職業紹介状況においても、正社員有効求人倍率(季節調整値)が1.00倍であるのに対し、全体の有効求人倍率は1.24倍となっており、非正規雇用の求人が相対的に多いことがわかります。この傾向は、雇用動向調査でも同様です。

地域間格差

地域間格差 一般職業紹介状況では、都道府県別の有効求人倍率に大きな差があることが示されています。例えば、就業地別では福井県が1.83倍で最も高く、大阪府が1.03倍で最も低くなっています。

国や地方自治体は、こうした構造的な課題に対応しつつ、より安定した雇用環境の創出につながる施策を推進することが重要になっていきます。

PAGE TOP